「地域包括ケア病棟」って何? 急性期病棟との違いを “看護” で徹底解説!

2025.10.15

コラム

「地域包括ケア病棟」って何? 急性期病棟との違いを “看護” で徹底解説!

こんにちは!
「おうちにかえろう。病院」採用サイトのコラムをご覧くださり、ありがとうございます。

今回は、地域包括ケア病棟について急性期との違いを“看護”に注目して、解説します!
患者さん一人ひとりと向き合う看護に興味がある方や、ご本人らしさを尊重したケアに関わりたい方はぜひ、最後までご覧ください。

※病院によって様々な特性がありますので、「うちの病院では急性期でも患者さんの生活に密着した退院支援をしている強みがある!」という場合もあるかもしれません。あくまでも一般論の一部としてご覧いただけると幸いです。

「地域包括ケア病棟」と「急性期病棟」それぞれの役割

私たち「おうちにかえろう。病院」は、全床(120床)が「地域包括ケア病棟」という病棟で構成された病院です。全てが地域包括ケア病棟という病院は、全国的に見ても多くありません。
この「地域包括ケア病棟」をみなさんは、ご存知でしょうか?
約10年前にできた機能で、医療関係者でも「言葉はわかるけど、何をしている病棟なの?」と思われる方もいるかもしれません。
例えば、「急性期病棟」と比較してみると、このような役割の違いがあります。

「急性期病棟」では、病気や怪我の状態が不安定=急いで治療が必要な状態の方に対して、症状が安定するまで治療することが主な役割です。よって、「医療」を主軸にしたケアを提供する病棟が「急性期」となります。
一方、「地域包括ケア病棟」は、患者さん本人の意思に基づいて生活や人生を中心に考えた医療ケアを提供することが役割です。主に、在宅での生活に戻る・暮らしを立て直すことが期待されており、包括期=いろいろな病状の方が混在しています。
例えば、高齢者などに複合的な疾患の治療やリハビリなど、在宅復帰を目的とした医療を提供する機能があります。生活や人生に関わることですから、連携する関係者も広く、院外の事業者も含め多職種で患者さんの暮らしを支える、という点も特徴的な病棟です。

具体的な業務と看護観の違いについて

「地域包括ケア病棟」について、なんとなくイメージはできましたか?ここから、もう少し詳しく解説していきます。看護師の日々の業務では具体的に以下のような違いが見られます。

急性期病棟の看護では、患者さんを生命の危機的状態をサポートし、なるべく速やかに安定化することが大きな使命です。
医療的ケアが中心であり、スピードや正確さ、高度な技術、医師との緊密な連携が求められることもしばしば。入院は短期なので患者さんとの関係も短くなりがちですが、目に見える回復は大きなやりがいです。
退院で一段落なので、その後は患者さんと関わる機会は決して多くありません。そのため入院中の関わりの質を重視されるのも大きな特徴です。

一方、地域包括ケア病棟の看護は、患者さんが「自分らしく生きる」選択ができるように支えることが中心です。
回復支援・生活支援・退院(在宅)調整をまとめて設計しますが、核になるのは「意思決定支援」です。
たとえ健康のためだとしても、本人が望まない過度な制限や不必要な長期入院は避けて、自宅で暮らす力を落とさないことを重視します。そのために、患者さんの本音を引き出す信頼づくりに時間をかけることが大きな特徴です。そして、医師・リハビリテーションスタッフ・ソーシャルワーカー・ケアマネ-ジャー・訪問看護…などなど、院内外のスタッフたちとも密に連携し、退院後の暮らしまで見届けます。
見た目は穏やかに見えるかもしれませんが、正解がないかもしれない課題に向き合う葛藤は深く、チームで共有して話し合いながら最善を尽くす文化があります。

ケースごとに見る、関わり方の違い

では、急性期病棟、地域包括ケア病棟に入院されている方のケースでそれぞれの違いを紐解いていきます。なお、ここで示す違いに優劣はなく、あくまでも役割の違いがあるだけです。急性期は危機からの安全確保と安定化、地域包括ケアは暮らしへの橋渡しというリレーで患者さんを支える、というそれぞれの役割があります。

ケース1:誤嚥リスクがあるけれど「食べたい」患者さんとの関わり

ケース2:介護不安の強いご家族との関わり

このように、同じケースでも、目的や時間軸・介入方法・成果と考えるポイントが異なるため、設計する看護も変わります。どちらも患者さんに不可欠なステージであることは変わりません。

「地域包括ケア病棟」としての「おうちにかえろう。病院」

繰り返しになりますが、「地域包括ケア病棟」での看護は、患者さんの「生活・人生」を軸に考えることが特徴でした。そのなかでも、私たち「おうちにかえろう。
病院」では、看護師が主体的に意思決定支援を行い、患者さんの意思に沿った退院調整を行います。信頼関係を築いてきた患者さんだからこそ、しっかりと本人が望む支援を提供することができるのです。簡単なことではありませんが、看護師として一人前になっていくための教育システムも整っているので、仲間と一緒に着実にステップを踏みながら成長していくことができます。

おわりに

いかがでしたか?
今回は、「急性期病棟」と「地域包括ケア病棟」の違いについて、看護という観点からお伝えしました。

看護師の働く場所としてまず思い浮かべるのは急性期病棟、という方も多いと思います。
奥が深い地域包括ケア病棟の看護にも関心を持ってもらえたら、嬉しいです。

「おうちにかえろう。病院」では、一緒に働く看護師を募集しています。
看護師のキャリアに悩んでいる方、地域包括ケアについてもっと知りたい方、
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